1歳半になった子供にもそろそろ自転車の世界を知ってもらおうと、ストライダーをはじめとするキッズバイクの検討を初めて1ヶ月強。自転車専門ショップを10軒くらい地道に訪問した結果から、特におすすめのキックバイク / バランスバイクを厳選して5台紹介していきます。
子供の初めての自転車(キックバイク ・バランスバイク)選び3つのポイント
子供用自転車といえば定番のストライダーくらいしか、あまり知らない人も多いと思います。真剣に検討を始めるまでは私も同じでした。しかし、スペシャライズドやトレック、キャノンデール、ジャイアントなどの大手自転車ブランドが、様々な切り口やコンセプトでキッズバイクをデザインしていて、それぞれのバイクがとても魅力的です。
あまり考えずに「キッズバイクはストライダーでしょ」と買ってしまうのは、ちょっと勿体無いかもしれません。
はじめてのバランスバイクで最も大事なことは?
そもそも「バランスバイク」はペダルなしの自転車として誕生しました。
まだ自転車に乗るには早い幼児の頃から、足で蹴って走れる自転車で「バランス感覚を養う」ことが最も大きな目的です。そして、5歳くらいにペダル付きの自転車に乗り始めようとしても、バランスバイクで乗り方を学んでいるので、すんなり移行できるのは親にとっても大きな魅力でしょう。
そしてもう一つ大事なのは「乗る楽しさ」を味わえること。
小さな幼児はまず楽しいことしかしません。我慢の概念はまだまだこれからです。
だから、初めての自転車で、すぐこけたり、進まなかったり、上手くならないとすぐ飽きてしまう可能性もあります。
初めての自転車だからこそ、子供に自転車に乗る楽しさを十分に与えることが重要だと思います。
この楽しさを意識すると、単なるストライダーを買うだけだったキッズバイク選びから解放され、親なり、子供なりの好みを反映してどのキッズバイクにするか能動的に選ぶ楽しさが生まれてくると思います。
ちなみに、日本ではキックバイク などの呼称もありますが、アメリカでは「バランスバイク」が通称です。日本国内は権利関係の問題でバランスバイクと打ち出せなかった背景があるため、「ストライダー」の名前が普及し、キックバイク と呼ばれるようになったようです。
はじめてのバランスバイク厳選5台
それでは「楽しく」、「バランス感覚を養う」ための子供におすすめしたいバイク5台を一気に紹介していきます。
スペック比較
メーカー | ストライダー | スペシャライズド | トレック | キャノンデール | ジャイアント |
モデル名 | SPORTS | HOTWALK | Kickster | TRAIL BALANCE12 | PRE PUSH BIKE |
価格(税抜) | 13,500円 | 18,000円 | 16,000円 | 20,500円 | 15,500円 |
重量 | 3.0kg | 凡そ4.0kg | 3.97kg | 約4.0kg | 4.1kg |
低重心 | ホイール中心 | ホイール下 | ホイール下 | ホイール中心 | ホイール中心 |
タイヤ | EVAポリマー製 | エアレスタイヤ | ゴムタイヤ | ゴムタイヤ | ゴムタイヤ |
フットステップ | 有り | 有り | 有り | 無し | 無し |
実際にショップを回って見て、聞いて、調べて、厳選したのがこの5台のバランスバイクです。
結論から言えば、ストライダー以外の自転車メーカーのちゃんとしたバイクをオススメしています。
と言いつつもストライダーなりにいいポイントもありますので、まずはストライダーを基準として紹介してから、他のバイクの魅力に迫っていきます
基準バランスバイク:STRIDER(ストライダー)SPORTS
まずは基準となるSTRIDER(ストライダー)
価格: 13,500円(税抜)
日本でキックバイク といえばストライダーというほど普及しています。
ストライダーの最大の魅力は「みんな持っていること」です。
たくさんのユーザーがいて母体が大きいので、ストライダーカップなどの大会やコミュニティが充実している世界観が出来上がっていることです。カラーバリエーションもキックバイク の中で最も多いのも魅力ですね。
ただ、何色を選んでも近所の友達と「カブる」可能性があるデメリットも想定したほうがいいでしょう。
あと、「軽さ」。本格的自転車メーカーのタイヤやホイールはしっかりした作りで快適性を高めていますが、ストライダーは、いい意味で「おもちゃ」であるので、他のキッズバイクより1kg軽いアドバンテージがあります。
その軽さの分、幼児でもスピードを出しやすいバイクと言えます。
しかし、一方でストライダーの弱みは、その「おもちゃ感」だと思います。
最も気になるのが「EVポリマー製」のタイヤ、「プラスチック」なホイールで、地面を掴む性能や衝撃吸収性がいかにもなさそうです。
さらに、自転車の約半分の面積を占めるホイール・タイヤの「見た目」への影響は大きく、ちょっと安く見えてしまいます。でも、だからこそストライダーは子供向けっぽくていいという考え方もありますが。
自転車が好きにとっては、ちょっと性能面や見た目で物足りないでしょう。
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おすすめバランスバイク①:SPECIALIZED(スペシャライズド)HOTWALK
数あるキッズバイクの中で、個人的に最も良いと思ったのは、スペシャライズドのHOTWALK
実物を見るとストライダーとは圧倒的に印象が異なり、おもちゃではない、ちゃんとした自転車感が伝わってきます。
また、全体の設計コンセプトも最も性能面で優れています。
簡単にまとめるとHOTWALKの魅力は以下の3つ。
- 低重心の安定性
- エアレスタイヤでパンクレス
- フットステップで乗り幅が広い
今回ご紹介する全てのキッズバイクの中でも最も子供向けという点でコンセプトが設計されている魅力を感じるバイクです。
1の低重心ですが、ストライダーと画像を比較するとわかりやすいです。
同じ12インチのホイールの中心にガイドラインを引いて比較すると、スペシャライズドのHOTWALKは、フレームが下にグッと下がった設計になっていることがわかります。。
一方、ストライダーはホイール中心と同じ高さに並行してフレームが伸びています。
このフレーム設計の差で、HOTWALKの方が重心は低くなります。
また、フットステップに足を載せた立ち乗りで重心が上がっても、HOTWALKは足がより低い位置に置くことができるため、不安定になりがちな立ち乗りでもストライダーよりも低重心を維持できます。
このように低重心になるフレーム設計で、体の使い方が未発達な幼児でもより安定して乗りやすく、安全面でも優位です。
さらに「エアレスタイヤ」も秀逸で、これはHOTWALKだけの性能です。
タイヤは空気も必要のない完全なゴムタイヤで、パンクリスクが有りません。子供が荒っぽく乗ってもパンク修理の必要もなく、また、乗り心地の快適性も提供してくれます。
最後にフットステップがあるのも、慣れてきたときの乗り方の幅を作ってくれるので、子供にとって成長を感じる機会が多いと思うのでオススメです。これは、ストライダーやトレックのKicksterにも有ります。
反面、HOTWALKのマイナスポイントをあげるとすると、唯一、ストライダーに比べて1.0kg重い点ですが、ホイールやタイヤのグレードを考えると妥当なレベルかなと思います。
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スペシャライズドのキックバイク 「HOTWALK」エアレスタイヤでパンクレス
おすすめバランスバイク②:TREK(トレック)Kickster
続いて、トレックのKicksterです。
自転車メーカーのキッズバイクは全てタイヤとホイールのグレードが高いのが特徴です。
ストライダーのホイールとタイヤはプラスチックやポリマー製なので圧倒的に乗り心地は悪そうですし、使用していくとへたるリスクがあります。もちろん交換できますが。
まず、トレックの魅力は、その見た目の「ホンモノ感」です。
一見、子供向けのバイクという印象がなく、アルミホイールの綺麗なフレームが、所有感を満たしてくれます。
家の中に飾っていて眺めながら、一杯飲めそうなキッズバイクです。
性能面では、スペシャライズドのHOTWALK同樣フレーム設計は低重心になるようにデザインされていますし、フットステップも搭載されています。
唯一の違いは、「エアレスタイヤ」ではない点です。この点だけHOTWALKの後塵を拝していますが、それ以外は十分満足できるスペックです。
その他のマイナスポイントは、「見た目」が子供向けじゃないかも。
というところです。大人の所有欲を満たしてくれそうと書きましたが、逆に言えば、子供にとってこの渋さどうなの?という気がします。やはり赤や青や刺激的なカラーリングを子供は好むかもしれません。
その点が唯一の不安点です。
でも、子供が気に入ったのなら、ここは全くマイナスじゃなくなりますが。
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トレックのキックバイクKicksterの圧倒的なホンモノ感。子供を自転車沼に導くならストライダーじゃなく、こっち。
おすすめバランスバイク③:cannondale(キャノンデール)Trail BALANCE 12 BOYS
そして、これも意外によかったキャノンデールのTRAIL BALANCE 12 BOY’Sです。
まず、最も特徴的かつ魅力的なのは「片持ちフォーク(レフティ)」のフレームです。
キャノンデールらしさを感じるデザインですが、サスペンションがあるわけではないので性能面では特に貢献はしてないようです。でも、自転車を感じる設計です。
マイナスポイントは、重心はストライダーと同じホイール中心と高めです。
また、フットステップがありません。
そして、極め付けが価格が20,000円と最も高い。
しかし、そのおかげで普及台数はそれほど多く出ないと思うので、他の子達と被らない「差別化」という見えない価値が生まれるのではないかと考えています。
あともう一点、カラーリングが日本で1色展開しかないのもややマイナスでしょうか。
ただ、他とは違う特徴的なキッズバイクを選びたいなら、片持ちフォークの目立つルックのキャノンデールのTRAIL BALANCE 12はアリだと思います。
おすすめバランスバイク④:GIANT(ジャイアント)PRE PUSH BIKE
そして、子供っぽいルックでオススメなのが、GIANTのPRE PUSH BIKEです。
最大の魅力は、カラーバリエーションが3種類と多くて、良い意味で子供っぽさがあるところです。
水色、赤、ミントパープルと、男の子も女の子もどれか気に入りそうなデザインです。
我が子の食いつきもジャイアントのPRE PUSH BIKEが最もよかったように思います。
かといって、ストライダーほど安っぽくもなく、綺麗に加工されたアルミフレームが自転車感を醸し出しているので、大人も安心して買い与えられるバイクではないかと思います。
マイナス面としては、重心がやや高めな点ですね。
スペシャライズド、トレックのキッズバイクのような設計思想はなさそうです。
とはいっても、タイヤやホイールはしっかりしています。
また、フットステップがありません。この辺もどう捉えるかだと思います。
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GIANTのキックバイクPRE PUSH BIKEの子ども感がちょうど良い。おもちゃ感とモノの魅力のバランスが秀逸。
バランスバイク選びのポイントは3つ「乗りやすさ」「楽しさ」「見た目」
以上、オススメの5台を紹介してきましたが、キッズバイクを選ぶときのポイントとして、3つを基準にしています。
バランスバイクの重要な目的である「楽しく」、「バランス感覚を養う」ために必要な「乗りやすさ」、「楽しさ」、「見た目」です。
ポイント①「乗りやすさ」 低重心で安定するフレーム設計
前述ですが、バランスバイクの安定性を高めてくれる「低重心化」されたフレーム設計であるかどうかで大きく分かれます。
この2台は、他のバランスバイクと比べ、性能面では群を抜いています。
ポイント②「楽しさ」 悪路を走れる「快適性」やスピードの出る「軽さ」?
次にストライダーとその他の自転車メーカーのキッズバイクの大きな違いが、タイヤとホイールの素材です。
ロードバイクの世界でもホイール・タイヤの足回りを変えると、圧倒的に乗り味が変わります。
ストライダーは、ポリマー・プラスチックといかにも乗り心地は悪く、耐久性も低そうな点は、自転車好きだとちょっと看過できないポイントです。
この点で、自転車メーカーのキッズバイク4台をオススメするのですが、一方で、その分軽くて取り回しやすいというメリットがストライダーにはあるので、どちらを取るかという判断材料として捉えてもいいかもしれません。
でも、自転車好きならストライダー以外がオススメかなーと思います。
ポイント③「見た目」子供が気にいるデザインか?
何と言っても一番大事なのは「見た目」です。
ただし、親よりも子供が本当に気にいるかどうかが大事だと思います。
子供って飽きっぽいし、つまらないと思ったらほんと遊んでくれないので、モノとして子供が触りたくなる、いじりたくなる見た目のものを選ばせるのが大事だなと思います。
そういう意味ではストライダーのカラーバリエーションが豊富なのは戦略的にいいですね。
ただ、みんながストライダー買ってるからそうなっているのが現在なので、もっと他のメーカーも頑張ってマーケティングして台数が売れるようになったら、カラーバリエーションが増えそうなので、個人的には自転車メーカーのキッズバイクをぜひ皆さんにも買っていただきたいなと思ったりします。
少し話がずれましたが、「性能」の違いを色々書いたりしてきましたが、子供と一緒に自転車屋さんに行って、実際に見て決めてもらうことが最も重要だと思います。
近くに見に行くショップがなければ、ネットの写真を一緒に見ながら決めるのも楽しいかなと思います。
それでは、子供と一緒に楽しい自転車ライフを。
(公式サイトリンク集)