ヒルクライム向けホイールの選び方とおすすめモデル15選

ロードバイクで最も得意、不得意が分かれるのは「ヒルクライム」ではないでしょうか?

ヒルクライムは初心者はもちろん苦しいですが、上級者でも決して楽チンという訳ではなく苦しいはずです。

でも、上級者とヒルクライムをすると、いつも圧倒的な差をつけられてしまいます。

急勾配の登り坂では、個人の走行能力に加えて、バイクや機材の「性能」や「重量」の影響も大きくなります。今回はバイク機材の中でも重要なホイール、特にヒルクライム向けホイールの選び方をまとめます。

軽さだけじゃない、ヒルクライム向きホイール選びの極意と、価格帯別のおすすめホイールをピックアップして紹介します。

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ロードバイク:ヒルクライム向けホイールの選びの極意。

まず、ヒルクライムの特徴を考えてみる。

ヒルクライム向けホイールを検討する前に、ヒルクライムの走行について理解を深めてみましょう。

平地の走り出しの特徴

まず、例えば、平地で走り始めるシーンは「低速」かつ「低パワー」の走りです。

このときホイールに求められる性能は「低速加速性」。

低速でホイールに伝えられるパワーも小さいので「剛性」は必要なく、加速を軽くするための「リム(外周部)の軽さ」が効果的な性能を引き出します。

ヒルクライム走行の特徴

では、ヒルクライムはどうでしょうか?

同じく「低速」ですが、「大きなパワー(高い出力)」が必要な走りです。

急勾配の登り坂では「重力」で一気にスピードは落ちて「低速走行」になるため走り出しと同様に「リム(外周部)の軽さ」が同じく効果的です。加えて「重力」に逆らうために高いパワー」を効率よく伝達する「高い剛性」が必要なのです。

つまり、ヒルクライム向けホイールには「高い剛性」と「リムの軽さ」が必要です。

ヒルクライム向けホイールに必要な性能1 「高い剛性

高いパワーを効率よく伝えるためには、ホイールに「高い剛性」が必要です。

剛性とは「変形しにくさ」です。

高出力でペダルを踏んだとき、剛性が低いホイールだとホイール全体が大きく変形してたわみ、せっかく出力した高いパワーを効率よく地面に伝えることができず、多くをロスしてしまいます。高い剛性のホイールならばこのロスを軽減して、効率よく地面に伝えてくれます。

ホイール剛性は「素材」「リムハイト」「リム幅」で決まる。

素材は「カーボン > アルミ」

リムは「リムハイトが高い」「リム幅が広い」ほど良い。

ホイール熟練者はまずリムハイトを見るそうです。それでホイールの方向性がわかる。そして、意外と気になる重量はその後に確認するとようです。

素材は、カーボンの方がアルミより優れているので、予算が許せばカーボンを選択した方が良いようです。ただ、アルミだから走らないという訳ではありません。アルミの中で走るホイールはあります。

ヒルクライム向けホイールに必要な性能2「リムの軽さ

次に「重力」に逆らうヒルクライムでは「軽さ」もやはり重要です。

感覚的に「軽量化」がヒルクライムに効果が高いことは理解できると思います。。

本格的なヒルクライムレースでは、フレームが軽いバイクを選ぶのは当たり前で、ハンドル、サドルなどあらゆるパーツを、カーボン素材に替えたり、軽量化にこだわるライダーも多く、時にフロントギアを1枚にしたヒルクライム専用バイクを駆る人もいるほどです。

ホイールは「リムの軽さ」を気にする。

しかし、ホイールについては、全体の「軽さ」よりも、特に「(ホイール外周部)リムの軽さ」が走行フィーリングを高め、ヒルクライムで有利になります。ヒルクライムは登りながら常に減速しているので、低速域で加速しやすい「リムの軽さ」効果を実感しやすいのです。

リムの重さは、同じ素材ならリムハイトやリム幅が大きいほど重いので、形状から判断してもいいでしょう。

外周部の軽量化は、ホイール以外のタイヤ・チューブでもできる!

ホイール外周部は、タイヤ・チューブで軽量化できるので、先にこれらを変えるのもヒルクライム攻略の鍵になります。

ヒルクライム向けタイヤ:コンチネンタルグランプリ スーパーソニック

23Cサイズでわずか150gです。

ヒルクライム向けチューブ: ラテックスチューブ

ラテックスチューブは超高性能の軽量チューブ。

ゴムが薄く空気が多く入るためタイヤの内圧を上げ、転がり抵抗を小さくして、乗り心地も上げてくる素敵なチューブです。チューブラーに近いというインプレもあります。

ただ、値段が高く、装着むずかしいので、ヒルクライムイベントなどここぞのときに使うイメージです。

ミシュラン・ラテックスチューブ

ソーヨータイヤ・ラテックスチューブ 

(補足)ヒルクライム向けホイールでは「空力性能」は気にしない。

補足ですが、ヒルクライムで、必要ない性能もあります。

それは、空気抵抗を減らす「空力性能」です。低速走行のヒルクライムでは空気抵抗は大きくないからです。

そして、一般的に空力性能がはっきり感じられるのは、リムハイト50mm以上からで、これだけリムハイト高いとリムが重くなってしまいます。過度なリムハイトはヒルクライムではやめましょう。

ただ、リムの高さは「高い剛性」に繋がる部分もあるので、少し高い30mm〜40mmくらいのミドルディープリムホイールに押さえておけば、ヒルクライムでも十分活躍すると思います。

ヒルクライム向けホイールの選び方まとめ

重要なのは、「高い剛性」「リムの軽さ」

この2つのうち最も重要なのは「剛性」です。

というのも「リムの軽さ」は低い剛性につながりやすいので、2つの要素は背反するからです。

また「軽さ」はホイール以外のパーツでも実現できるので、「剛性」を優先した方が良いのです。

リムが多少重くても、タイヤやチューブを軽くすればホイール外周部は軽くなります。

もっと言ってしまえば、最も有効な軽量化は、自分の「体重」を落とすことです。

ホイールの軽量化は、数百グラムが限界。体重を落とす方がよっぽど効果的で、安上がりです。

と言いつつ、私はあまり体重絞れてませんが。。。

以上をまとめるとヒルクライム最強ホイールは、

カーボン高剛性ワイドリム・セミディープホイール

(できればリムが軽い)となります。

もちろんアルミホイールがダメというではなく、

予算に合わせて、剛性の高い(できればリムが軽い)ホイールを選べば、アルミホイールでもいいものはたくさんあります。

価格別ヒルクライム向けホイールおすすめ18選

さて、いよいよ、ヒルクライム向けの「高い剛性」で「リムが軽い」おすすめホイールを価格帯別に紹介していきましょう。

ホイールの価格帯の分類とその特徴

ホイールの価格帯は以下のように分類します。

  • 5万円以下・・・完成車ホイール。
  • 5〜10万円・・・最初のグレードアップ
  • 10〜15万円・・・大満足のアルミハイエンド
  • 15〜30万円・・・レース決戦用カーボン
  • 30万円以上・・・超高級・高性能カーボン

価格が高いほど、もちろん、高性能の軽量ホイールになっていきますが、徐々に性能の差は価格ほど感じられなくなります。

なので、10〜30万円内の高性能ホイールならば、アルミ/カーボンのどちらでも、ホビーライダーレベルだと十分大満足の走りを与えてくれるでしょう。

30万円以上高性能ホイールを検討は、実業団・プロ並みの高出力の脚力を身につけてからでも遅くないと思います。

【5〜10万円】1stグレードアップホイール

完成車に付属するホイールがちょっと物足りなくなって、走りの変化を味わいたい人は、まずこの価格帯のホイールを試してみましょう。

ヒルクライムに特化しているというよりは、ホイールが軽量化され、剛性や乗り味を楽しむ「走りの変化」を味わえる1stグレードアップホイールです。

カンパニョーロ ZONDA(ゾンダ) C17

  • 価格(税抜):6,5000円
  • 重量:1,540 g

カンパニョーロの特徴であるG3スポーキングをしっかり採用して、ワイドリム化もされ、走りの味を低価格帯で楽しめるゾンダ

入門ホイールの中でも特に人気が高く指名買いも多く、プロ選手も練習用ホイールとして利用するほどで、この低価格帯では群を抜いたホイールと言えます。

実売価格は50,000円前後。

フルクラム レーシング3

カンパニョーロの姉妹企業であるフルクラムは、剛性が高く、キレのある乗り味が特徴のホイールをスポークの組み方を変えて展開しています。

最新2018年モデルでついにワイドリム化されたレーシング3。2017年12月に発売されたばかりで市場にまだネット通販でも見つけるのが難しい現状です。

モデルチェンジで少し高くなっているので、ZONDAの方が手に取りやすい価格帯です。

  • 価格(税抜):84,000円
  • 重量:1,560 g

実売価格は7万円前後。

【10〜15万円】アルミハイエンド/カーボン入門ホイール

この価格帯は、ホイールの選択肢が一気に増えるので、悩むのが楽しい価格帯です。

まず、ハイエンドのアルミホイールを選ぶか、入門グレードのカーボンホイールを選ぶか、で分岐します。

(ハイエンドアルミ)

フルクラム レーシングゼロ / NITE

Racing Zero (レーシングゼロ) 

ハイエンドアルミのヒルクライム向けにおすすめしたいのはレーシングゼロ。通称レーゼロ。フルクラムのホイールはスポークの組み方で「高い剛性」をもち、ペダルの踏み込みに即座に反応する切れ味が楽しいホイールです。ダンシングでグイグイ進ませるヒルクライムは、まさに走っている!と感じさせてくれます。

  • 価格(税抜):137,000円
  • 重量:1,518 g

Racing Zero Nite (レーシングゼロナイト) C17

レーシングゼロNITEとレーシングゼロの違いは、リム加工による制動性能の向上のみです。リムが黒くなってかっこいいのですが、値段が3万円近く跳ね上がるのでちょっと引きます。私は普通のレーゼロでダウンヒル60km程度で走ったりしますが、制動性能に不満はないので、NITEは見た目が気に入ったなどの理由で選ぶのはありかもしれません。

  • 価格(税抜):166,000円
  • 重量:1,506g

実売価格はwiggleで、レーゼロ約12万円、レーゼロナイト約14万円。

 
 
 
 
 

カンパニョーロ シャマルウルトラ / ミレ

Shamal Ultra (シャマルウルトラ) 

高性能アルミホイールの基準と言えるのが、カンパニョーロ「シャマルウルトラ」。

ヒルクライムに特化しているわけではなく、非常にバランスの良い全ての走行シーンで活躍するホイールです。

万人に好まれる乗り味なので、まず失敗のない洗練されたホイールを選びたい人におすすめです。

  • 価格(税抜):151,000円
  • 重量:1,449g

Shamal Mille (シャマルミレ) 

シャマルウルトラのリムが加工されて、ブレーキの制動力を高められたモデルが、シャマルミレです。このリムのみがシャマルウルトラとの違いですが、副産物としてリム側面がマットブラックになり漆黒のシルエットが少しかっこいいので、見た目でこちらを選ぶのもありかと思います。

  • 価格(税抜):168,000円
  • 重量:1,459g

実売価格はシャマルウルトラ約9万円、シャマルミレ約11万円とそれほど大きな差はありません。

制動力に優れたミレはなぜか走行性能もインプレ評価が良い記事も多いので、予算が許すならミレをおすすめします。

シマノ WH-R9100 C24 CL

シマノのデュラエース。日本のメーカーらしい優等生的なホイールで、安定した性能と耐久性に優れています。

少し味のあるホイールが欲しいというよりは、安定、安心を選ぶ人におすすめです。

  • 価格(税抜):145,064円
  • 重量:1,456 g

実売価格は約11万円なので、シャマルウルトラ、レーゼロとほぼ変わりません。

(入門カーボン)

フルクラム レーシングクアトロカーボン

フルクラムの入門カーボンホイールの位置付けで、上位モデルのスピード40Cと基本構造は同じ。でも価格はおよそ半分。カーボンホイールが欲しいという人にはこの価格で始められるのは嬉しい。リムハイトも40mmでルックスもかっこいい。ただ、この価格帯は、アルミハイエンドも買えるし、もう少し頑張ってどうせならミドルグレードのカーボンを買うこともできるため、非常に悩ましいポジションにあるホイールだ。

  • 価格(税抜):168,000円
  • 重量: 1,555g

実売価格はwiggleでなんと割引なしの16万円。高い!この価格ならミドルグレードのレーシングゼロカーボンのセールを買った方がいいでしょう!

【15〜30万円】決戦用カーボンホイール

フルクラム レーシングゼロカーボン

ハイエンドアルミで人気の「レーゼロ」のリムがカーボンなった。まさにレーゼロカーボン。200g弱軽量化され、カーボンによる剛性アップで、ヒルクライムでもグイグイ進むホイールになっている。リムハイト30mmと低いのでリムも軽い。

  • 価格(税抜):260,000円
  • 重量: 1,340g

実売価格は、少し古いモデルですが18万円。クアトロを買うよりはこっちですねぇ。

最新2018モデルは定価が高くなっているため、あえて古いモデルを買うのもアリだと思う。

カンパニョーロ ボーラワン35クリンチャー

リムハイト35mmのセミディープホイールのボーラワン35。カーボンホイールの中でも1、2を争う定番の人気ホイールではないだろうか?適度なリムハイトで剛性も高く、カンパニョーロらしい乗り味を楽しめるホイール。リムハイト50mmのボーラワン50 クリンチャー(2018)も展開されていて、平地やダウンヒルの高速域の走行はそちらがおすすめ。最新2018年モデルは、AC3リム加工によるブレーキ性能アップが大きな進化です。

  • 価格(税抜):262,000円
  • 重量:1,406 g

最新2018モデルの実売価格は約21万円。あまり割引率が良くないですが。

【30万円以上】超高級・高性能カーボンホイール

フルクラム スピード40

リムハイト40mmの絶妙な高さに投入されたフルクラムのスピード40。空力も少し期待できるし、剛性も期待できる。ヒルクライムのみならず、高速巡航、高速加速、全てのロードレースシーンで活躍が期待できるハイエンドホイールの中でも個人的に最も興味のあるホイールです。しかし、最新2018モデルでは価格が一気に10万円近く値上がりして、ハイエンドホイール化してしまったが、去年まではミドルグレードの25万円だったのでどこかに在庫が残っていれば、2017年モデルを狙うのは賢い選択かもしれない。私は2018年モデルがこなれるまでもう少し様子を見ようと考えています。

  • 価格(税抜):336,000円
  • 重量: 1,420g

実売価格は、wiggleではほぼ値引きがなく約30万円と高い。

カンパニョーロ ボーラウルトラ35クリンチャー

高性能カーボンホイールとして君臨しているのはやはりBORA ULTRAでしょう。2018年モデルは制動面がAC3に代わり、BORA ONEとの違いはHUBがCLUTにグレードアップされている点。だったらボーラワンでいいやと思わなくもないが、最高峰のカーボンクリンチャーホイールのウルトラにも憧れます。乗り味はカンパニョーロらしく上質。

  • 価格(税抜):404,000円
  • 重量:1,360 g

実売価格は、wiggleで最新2018年モデルが、なんと25万円まで下がってる。けど売り切れ(2018/3月時点)でも、この価格ならボーラウルトラを買う方がいいかも。
ボーラ ウルトラ35クリンチャー

Rolf PRIMA Eos3

とにかく美しいホイールです。Rolf最高峰フラッグシップホイール PRIMA Eos3。アメリカで自社開発される32mmハイトの超高剛性のリムの性能で上りのペダリングにクイックに反応し、よく転がる。特徴的なスポークの配置は空力効果も高く、平地でも活躍するホイールだ。

  • 価格(税抜):368,000円
  • 重量: 1,345g

取り扱いが少ないようで、調査を一旦中止。実売価格は不明です。

ライトウェイト・マレインシュタイン クリンチャー

ロードバイクホイールの王者に君臨するライトウェイトは、別格と言われるほど評価が高い。そして、お値段も王者。いつかは乗ってみたい!と思いつつも、59万円でハイエンドフレームも買えてしまう。

考えようによっては、ロードバイクのパーツの中で重要度が最も高いのはフレームとホイールだから、ハイエンドは同じくらいの価格というのは論理的に帰結しそうだけど、いざホイールに大金を使えるかと問われれば、微妙です。

性能面は、「ライトウェイト史上、もっとも剛性が高いホイール。」とオフィシャルが言い切り、重量も1,200gも切る圧倒的な軽量ホイールです。。ヒルクライムで最高の性能を発揮するのは間違いなさそうです!また、現在はまだナローリムなので23Cタイヤでラテックスチューブにすれば、最軽量の足回りを作れます。さらに、名前もシルエットもかっこいいですね。

まるで、札束でヒルクライムをするような贅沢、味わいたい。

  • 価格(税抜):590,000円
  • 重量: 1,190g

ネットではほぼ取り扱いなし。リアル店舗に行くべし。高いし。

ヒルクライム向けホイールの性能まとめ

  • ヒルクライム向きホイールに重要なのは「高剛性」と「リムの軽さ」
  • 空力性能はあまり意識しない。

ヒルクライム最強ホイールは、高剛性のカーボンセミディープホイール!

と言い切る。

最後に、以上を踏まえて、

ヒルクライム向きホイールのランキングTOP5を個人的な意見ですがまとめました。

ヒルクライム向きホイール ランキングTOP5

Rank1:ライトウェイト・マレインシュタイン クリンチャー

Rank2:フルクラム スピード40

 

Rank3:カンパニョーロ ボーラウルトラ35クリンチャー

ボーラ ウルトラ35クリンチャー

 

Rank4:フルクラム レーシングゼロカーボン

Rank5:Shamal Mille (シャマルミレ) 

いつかは、マレインシュタイン!

もし、苦手意識があるなら、機材を変えてもう少しだけ楽にヒルクライムしてみてはいかがでしょうか。

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(参考文献)