ロードバイク初心者が最適のポジションを見つけるまでに時間がかかることも多い。特に乗り始めたばかりは、ロードバイクの前傾姿勢を長時間支えられる体幹が備わっていないので、手やお尻、足に必要以上の負担がかかってしまい、痛みにつながってしまいがちだ。
私も、100kmを超えるロングライドが楽しくなってきた頃から、体に異変を感じ始めた。手首のしびれ、お尻の股擦れ、膝・足首などの痛みを経験して苦労して乗り越えてきた。
今回、その中でも特に悩んだ膝の痛みの原因と対策についてまとめる。
ロードバイクの膝の痛みの原因の傾向と対策
原因1.ロードバイクのポジション
まず、大きな軸でロードバイクのポジションを見直すことが大事だ。ポジションが合っていなくて膝に痛みが出る大きな原因の一つは、ペダルを下まで踏み込んだ時に足が伸びきっていることが考えられる。膝が伸びきってしまうと膝に負担がかかりやすくなる。特に日本人はガニ股や内股の人も多く、ペダルを回す時に踏み込む時と引き上げる時でうまく足の角度を微妙にを調整しながら回すことで足の負担を小さくしている。しかし、足が伸びきっているとその調整をする「遊び」がない状態になる。
対策1.サドルを下げる
俗にサドルが高くて、ハンドルが低いとプロっぽい。そういうセッティングを目指して無理をしてしまう人もたまにいる。しかし、プロはあの姿勢を長時間維持できるような体幹や筋力、そして、乗り方のテクニックを備えているのだ。初心者の頃はまずロードバイクの前傾姿勢を支えるだけの体幹ができていない。無理をせず、まずはサドルを少し下げて、ペダルを最下部まで下ろしたときに膝に余裕がある状態にセッティングしよう。あまり下げすぎてもサドルにどっかり腰を乗せてしまい股擦れの原因にもなるので、ほどほどで構わない。数センチでも膝にゆとりがでれば OKだ。
>サドルのずれ対策に
原因2.ビンディングシューズのクリート位置のセッティング
次に考えられるのは、シューズとペダル。
本格的にロードバイクに乗り始める場合は、専用のビンディングシューズとペダルを用意するだろう。これにより足とペダルが固定されるため、安心してヒルクライム中でもダウンヒル中もペダルから足が落ちる心配がなくなり、快適にペダルを踏むことができる。
しかし、この固定によるデメリットもある。ビンディングシューズの固定具のクリートとペダルのセッティングをうまくやらないと足がきれいに回せず、関節にねじれが生まれ、足の負担が大きくなる。常に膝が左右にねじれている状態でペダリングを繰り返すうちに、膝の周りにある腱と骨が何千回と擦れるうちに膝の痛みが生まれるのだ。
対策2.クリート位置を拇指丘下に。さらに足裏の角度を調整。
ひざ関節のねじれの原因がヴィンディングシューズのクリート位置の設定である。
クリート位置は拇指丘の下になるようにというのはあらゆるセッティングで書かれていると思うので、まずはそれを忠実に再現するようにmm単位で調整をしよう。ここまでオーソドックスなセッティングだ、もう一つ工夫できるポイントがある。靴の中での、足裏角度(カント角)足の左右への傾きを調整することだ。これはスキーの板調整の考え方と同様らしい。
普通にリラックスした状態で椅子に座って足裏を平らな床に置くと、拇指丘側に少し隙間ができる。この隙間の分、靴の底を上げて常にこのリラックスした状態を作るというのが足裏角度の調整である。一番簡単な方法はシューズのソールの裏側にフェルト生地を両面テープで貼り付けて数mmの厚さを作ることだ。
足の外側が下がったような状態にすることで、ペダリングの時に足裏の真上に膝が来て、ペダリング時の膝のねじれを軽減してくれる。この辺りの調整はまさに人それぞれなので、少しずつ調整をしながら、ロングライド時の痛みが軽減されたかどうか試していくしかない。
近くの100円ショップでも売っているところもあるのでそこでいいかと。
原因3.クリートとペダルの固定力
最後にビンディングシューズとペダルを固定する力を強くしすぎると膝に遊びがなくなり、膝のねじれを固定してしまう。また、信号待ちでの停車時にも特に左足はシューズをペダルから外すために捻る動作を行うが、ロングライドになると止まるたびにこの動作を繰り返すため、ペダルの固定力が強いほど、膝に負担がかかってしまう。
対策3.ペダルの固定ばねを調整して弱める。最弱でも良い
ペダル側の固定力調整を行おう。個人的には最弱が良い。最弱にしていてもまっすぐペダルを回していれば、走行中にペダルから外れるということは一度もない。さらに、とっさの飛び出しなどでの急ブレーキ時にはペダルが衝撃で外れてくれるので立ちゴケもほとんどしなくて済む。初心者が悩む立ちゴケもペダルの固定調整を緩くしておくだけでかなり軽減されるメリットもある。まずは、ペダル固定力は最弱の設定にしておくことをお勧めする。
SPD-SLの場合は、クリートが遊びの幅で色分けされているので初心者の頃は遊びが大きいペダルを選ぼう。
また、クリートをペダルに固定するほどロスが少なく力が伝わるのでシューズとペダルはガッチガチにしたほうが良いと思う人もいるかもしれないが、必ずしもそうではない。先ほども言ったように足にガニ股、内股などの癖がある場合は特にペダルは回しながら足の動きを多少を調整することで正円を描くテクニックが必要になる。固定が膝のねじれを固定してしまうリスクも覚えておいてほしい。
ロードバイク膝の痛みの原因と対策のまとめ
膝の痛みは数日すると消えるが、走るたびに慢性的に痛みができる場合は、やはりポジションから見直したほうがいい。週1回走る前に上のようなサドル、シューズ、ペダルの1箇所ずつ調整して、膝の痛みが軽減されるか試しながら調整するのがオススメだ。いっぺんに調整してしまうと何が正解だったかわからないので1箇所ずつが鉄則。