2017年末に発売された自転車ショップでも有名なメカニックの小畑さんの知識をまとめたMOOK本がありました。師走の忙しさにかまけて1ヶ月ほど積んでただけの本をようやく読んだので、今回、レポートをしたいと思います。
最初は、今乗っているバイクを自分でチューンナップするための参考に。と思っていたのですが、チューンナップのための基礎知識として、ロードバイクの様々なパーツの特性などが詳しく説明されているので、意外と次のバイクを選ぶモノサシ作りにもなり、また、ホイールなどのフレーム以外の機材選びにも使える良著となっています。
ロードバイク 最速チューンナップ&メンテナンス徹底ガイド (洋泉社MOOK)
それでは早速、内容について簡単にご紹介していきましょう。
ロードバイク最速チューンナップ&メンテナンス徹底ガイドの目次
本誌は大きく、フレーム周り、足周り、その他(駆動系)の3部に分かれています。
そして、それぞれ部で重要な10箇所のパーツを取り上げて順を追って説明されるので、非常に理解しやすくなっています。
Part1 ステアリングはバイクを変える
- PARTS1 フレーム
- PARTS2 ハンドル
- PARTS3 ステム
Part2 足まわりは「もうひと手間」で速くなる!
- PARTS4 タイヤ
- PARTS5 ホイール
- PARTS6 ブレーキ
Part3 バイクはまだまだ速くなる!
- PARTS7 チェーン
- PARTS8 ディレイラー
- PARTS9 カンパニョーロ X シマノ
- PARTS10 ペダル&シューズ
以上が目次の全てです。
初心者は頭から順番に読んでいくことで、フレーム→ハンドル→・・・タイヤ→ホイール・・・→チェーン・・・とロードバイクのフレームと各機材の特徴をつなげていくように理解していけると思います。
熟練者の方は、自分の気になっているパーツの部分から読んでもいいと思います。シンプルな構成がゆえに非常に使いやすい本に仕上がっていると思います。
さて、次にそれぞれのPARTSの中でも私のレベルで特に気になったコンテンツをピックアップして紹介します。
次に買うバイク・機材選びの参考にしたい豆知識
読み進めていると、今のバイクのための機材だけではなく、初めてロードバイクを買うときに全く選ぶ基準がなかったことやどのメーカーのバイクが良いのか全くわからなかった頃のことを思い出しました。
今回、この本から得られた豆知識で特に今後のバイク・機材選びに参考にしたい豆知識を少しだけピックアップして紹介します。
バイクの性格を決定づける「骨組み」フレーム
ママチャリのような完成品と違って、ロードバイクは「フレーム」が中心にあり、その他のパーツを組み合わせて作るので、とにかくフレームがロードバイクの肝だとはよく聞きます。ただ、正直なところ、カラーやデザインの「見た目」以外の違いについては、あまり理解できていない人も多いと思います。
私もエンデュランス系の乗り心地重視のバイクは、前輪と後輪の距離(ホイールベース)を長めにして、直進安定性をましているとか、その程度の知識しかありません。
本著では、「ジオメトリ」「剛性」などのフレームの特性を中心のそのあたりの知識を与えてくれます。
・フレーム以外のパーツがどんどん高剛性になっているので、フレーム剛性は各社ともに過剰な剛性を避けている。
・バイク全体としての剛性が高くなりすぎるのを防いでいる。
・剛性が過度に高いよりも、適度なしなりがある方が良い。
・トップスピードがやや落ちても、足の負担を減らし、スプリントを持続できる方が速い可能性がある。
・シッティング(座り)とダンシング(立ち漕ぎ)ではフレームにかかる負荷が異なる。
・ダンシング時にはBBに横方向の力が加わりウィップして、フレームがねじれる。
・ダンシングを継続したい人は、トップチューブが細く、しなやかに。同時にBB周りを硬くして力を逃さない作りに。
とにかく、速い人は硬い!という訳ではなく、適度な柔らかさを設けて、長時間パワーを出し続けられるようにすることが大事ということです。
ロードバイクのフレーム・機材の選び方の豆知識
メンテナンスの方法以外にも各パーツごとにコラム的に近年のロードバイク業界の動向に合わせた選び方の豆知識が掲載されています。このあたりの感覚はプロショップのメカニックならではのもので様々なメーカーのバイクに触れ合っているからわかる豆知識なので非常に参考になります。
フレームを選ぶときの豆知識
・ミドルグレードを選ぶ理由は少ない!
ミドルグレードを乗っている私にとっては少し衝撃でした。
いわゆるハイエンドは剛性が高くて、初心者には乗りづらい。といった一般的な意見は正しくなく、今はハイエンドも快適性が高く、反応も良く、どんな人でも予算が合えばハイエンドを選んだ方がいいということ。
唯一、「耐久性」については、重量がある分、ミドルグレードの方が優っているそうです。
・ロードバイクの味付けの細分化はなくなる?
各メーカーから、「オールラウンド」「エンデュランス」「エアロ」と3つの目的に分けたフレームが出ていることが多い現状についてですが、ロードレースの世界では、長時間の快適性も、エアロも、軽さも重要なので、ハイエンドであるほど1台でなんでもできるフレームが必要になります。
アマチュアのシーンでも、よほど目的が明確でなければ、特定の目的に特化した尖ったフレームを選ばなくて良いとの意見です。これは私も同感で、逆に初心者であるほど目的は不明瞭に決まっているので、オールラウンド一択で問題ないと思います。
バイクブランドを選ぶときの豆知識
・悪いバイクは少ない
現在では、どのブランドのバイクも優秀で大差がなくなっているようです。価格帯が同じくらいであればフレームの性能には大きな差はなく、機材選びやチューニングの味付けで自分好みに仕上げていくのが良さそうです。
コスパだけで選ぶと「ジャイアント」になってしまうので、もうそこはメーカー名の響きやロゴ、デザインで決めてしまうのがいいのではないでしょうか。
ホイールの選ぶときの豆知識
フレームの次に自転車乗りの関心が高いのはもちろん「ホイール」でしょう。
高価でもあり、効果も高いので、最も慎重に選びたい機材のひとつです。
・リム重量の軽さは400gくらいなら軽量
・コースの特徴に合わせたリム重量の重要性。
・平地の高速巡航なら重い方が有利。
・日本のように信号が多く加減速するシーンでは、軽い方が有利。
・ハイエンドアルミホイールは日本向き
リム重量が軽く、剛性が高いアルミスポークのホイールは、加減速の多い日本のライドシーンでは有効という結論です。納得感もあります。ヒルクライムだけなら軽量ホイールという考え方もありますが、峠に行くまでの巡航や信号ストップ&ゴーなどを考えると確かにアルミホイールはいい選択肢です。
ただ、見た目も少し考えて、カーボンのセミディープホイールを購入したい今日この頃。
パワーメーターを選ぶときの豆知識
バイクの性能に直接関係しませんが、バイクのエンジンである自分の性能を知るために近年、普及しているのがパワーメーターです。
・世代を経たものは安定しているので、新興メーカーよりは古参のものを使うのが安定して使える。
・ペダル式は付け替えて使えるので便利。だが価格が高い。
・心拍数でパワーを「パワーキャル」をサブで使うのもあり
パワーキャルは、心拍数から逆算してパワーを計測するそうですが、精度に難はありそうですね。
・パワーメーターは体重計のようなもの
体重計というのは比喩で、メーカーによってパワー計測のブレはある前提で、パワーメーターは同じものを使い続けることが自分の状態を把握するために理想的であるということです。
以上、ロードバイク最速チューンナップ&メンテナンス徹底ガイドの紹介と内容を一部紹介させていただきました。
なかなか実際に自分で全てメンテナンスすることはないと思いますが、ショップに依頼する場合にもある程度知識を持っておいた方が、変化を楽しめるので良いのではないかと思います。
初心者レベルの私でも少しずつ理解を深めてくれる良著になっています。