2017年のツール・ド・フランスも終わり、ブエルタまでしばし休憩中のロードレースシーン。
主役級の選手のリタイアが相次いだものの、幾つかの名レースもあり、感動の余韻に浸っている。
しかし、ブエルタまであと数週間！
ロードレース漬けだった日々から急に見るものがなくなると、ぽっかり穴が空いてしまったような気分にもなってしまう。
そんなロードレースファンの中継ぎとしてオススメしたいのが、今回紹介する映画「疾風スプリンター」。
ロードバイクを本格的に題材にしたフィクションの映画はかなり珍しい。
パンターニの生涯やランス・アームストロングの疑惑を題材にした映画などもあったが、疾風スプリンターは、完全オリジナルストーリーで、映画の中心にロードレースが据えられている。予告を見てもロードレースシーンがかなり迫力あって意外と面白そうなのだ。
台湾映画としては珍しく、日本でも昨年公開されたほどの映画で意外と観た人の評判が良いので気になっていた。
特に優待株投資家として有名な桐谷さんが「月曜から夜更かし」で、去年優待で見た映画の中で一番面白かったと言っていたのは印象深い。おそらく桐谷さんは、ロードレースに全く詳しくないはずだが、そんなロードレース初心者でも十分楽しめる映画にも仕上がっていることに興味を持っていた。
一方で、私はグランツールは全て観る系のロードレースファン。
そんな私でも楽しめるのか、レンタルが開始していたので、ようやく疾風スプリンター観ることができました。
DVD
ネット配信ビデオ・レンタルだと500円。まだ新作扱いです。
映画「疾風スプリンター」のあらすじ・レビュー
パッケージからもわかるようにロードバイクが全面に押し出された潔いイメージ展開。
ロードバイクファンならずば、観なくても良い！という割り切りが素晴らしいです。
特に台湾の俳優に馴染みが薄い日本人は、俳優で見るということもないのでターゲットセグメントはエッジが聞いてます。
邦題も「疾風スプリンター」とストレートです。
ただ出演している俳優や女優もなかなかの若手美形だと思うし、後で問題にしますが恋愛要素も一応あるので、甘い恋愛の雰囲気もパッケージに少し入れれば、イケメン好きの女性が観たりする可能性は多少上がったのではないかと思いました。
でも、ロードレースファンの私にとってはこのパッケージでもちろんOKです。
あらすじ（ネタバレなし）
中心となるロードレース選手はパッケージ下段の３人。
特にこの写真の2人がストーリーの中心に据えられる。
同じチームに入るところからストーリーは始まり、お互いレースに恋にライバル意識を持ちながら、挫折したり、克服したり、成長したりしていく。
左の彼がチン・ミウ。熱血系の主人公ポジション。
右の彼はティエン。やや大人しめで優しいサブ主人公という位置付けだ。
馴染みのない台湾映画だからか、彼らの顔と名前が開始１時間なかなか覚えられないのは要注意だ。
彼ら２人が気になるヒロインがこの左の女性。ちなみに彼女もトラックレースの選手。
そして、後ろの立ち看板は2013年ロードレース世界選手権で優勝してアルカンシェルを身にまとったルイ・コスタ（本人）。
主人公の憧れの人として登場する。
そして、もう一人のロードレース選手は、彼らの先輩で同じチームのエースのチョウ。
彼は純粋にロードレースの先輩として登場する。アシストとして主人公の2人がサポートしていく。
当然、エースの彼もなかなか名前と顔が一致しないので注意だ。
彼ら3人はロードレースにでながら、ライバルチームと戦ったり、その後、チームが別れてからはライバルとして真剣勝負を繰り広げる。そして、時折ヒロインが出てくるパートがある。
これがあらすじである。
もっと詳細に書いてもいいがせっかくの珍しいロードレース映画なので観るモチベーションをなくすような行為は避けておきたい。
「疾風スプリンター」の見どころ
まず結論から言うと、結構面白かった。
ロードレースシーンは結構迫力がある。そして、落車が多い！
落車・落車・落車！
台湾や香港などのアジアの各地でレースシーンがたくさんある。思った以上にある。
そして、時折ロードレースにつきものの落車もきちんと描かれる。
この落車も多くて、けっこう大規模だ。だから迫力がある。
ゴール直前数メートルで、全員巻き込まれる大落車は、みんな何やってんだ！という気もしたが。
かなりのエキストラを投入して、きちんと100人規模のプロトンも表現しており、迫力ある落車は見どころの一つだ。
ロードレースばりの空撮シーンも
街中の周回コースや本格的な峠を越えるコースでのレースシーンもあり、これも空撮とバイクカメラ、そして、ハンドルなどにつけたカメラなどを駆使して、かなり迫力ロードレースシーンの映像化に成功している。
ロードレース中継よりも、映画だからこそ、さらに密着したカメラアングルやテンポの良いカット、映像の切り替えなどが駆使されて、その迫力を生み出しているのだ。
さらに、チームカーの適切な解説セリフや、選手たちがインカムで呼び合う声なども飛び交って、レースのストーリーとしても盛り上がる。
ロードレースの中継とは、全く異なるエンターテイメントとしてのロードレースを本当にうまく作っているなと感じた。
また、ロードレースの複雑さも少なく、どっちのチームが勝つか、あいつに勝つ、この峠でアタックすると、割とレースごとの見どころをレース前や最中にしっかり表現しているので、集中して見やすいのだ。
理解の難しいロードレースの醍醐味はうまく外して、映画の中でのロードレースの楽しさをうまく作り上げてくれている。
これなら桐谷さんのような初心者でも勝ち負けを楽しめるエンターテイメント映画になるのも納得だった。
ストーリー展開の速さ！
ロードレースシーンの迫力と表現の素晴らしさは、上記の通りだが、もう一つ良かったのが、ストーリー展開も名に恥じぬほど「疾風」だった。
レースの数も多いし、その間にもいろいろ事件があったり、１０分ごとに何かしら起きているので飽きない。
ワイルドスピードばりに展開や移動が早くて、イマドキっぽい。
ここがいまいちだったよ「疾風スプリンター」
疾風スプリンターは、はっきり言ってスポ根映画と言ってもいいくらいロードレースシーンは面白い。
ただ、前述のようにヒロインがちゃんといるのだ。
いりましたかね？このヒロイン。
映画に華がないのもなんですが、ヒロインとの恋愛ストーリーはいまひとつ盛り上がらない中だるみになった。
ちょっとヒロインの感情がよくわからなかったし、ヒロインの役割としてストーリーへのからみかたもちょっと薄かった。
やはりヒロインたるもの、事件の中心にいて、なんだったらライバルと取り合われたりしてくれないと。
よく言えば、タッチの浅倉南くらいになんもしない感じだが、魅力的になるほど映画では描ききれていないのが残念だ。
疾風スプリンターは、タッチと違いスポ根だ。
スポ根はやはり、恋愛要素は無くした方がいいと思う。
男の世界として描き上げても良かった。
キャンプテンしかり、キャプテン翼しかり、あしたのジョーしかり、最近ではDAYSなんかも、恋愛はあるようでない
矢吹ジョーにお嬢さんが「好きなのよ！」と告白するシーンもあるが、溜めて溜めて１回だけだから良かった。
まして、疾風スプリンターは２時間の映画なので、無駄は省いてすっきりともう少し男たちの苦悩を描いても良かったように思う。
映画「疾風スプリンター」まとめ
総じて、評価すると面白い映画だった。
ロードレースファンのみならず、わかりやすいロードレースシーンは、初心者も十分楽しめる映画だと思う。
キッテルファンというちょっとロードレースかじっている私の嫁さんもずっとは観ていなかったが楽しめたようだったし。
多少CGがしょぼいところや展開に無理があるところもあったが、ロードレース映像は、いつもの中継映像よりも映画らしく迫力を増してエンタメに昇華しているところがこの映画がもっとも評価された理由だろう。
ストーリー展開もすっきり・サクサクなので、ライトにスポ根映画を楽しみたい人にはオススメ。
こんな人にオススメ
- サクッとスポーツ映画をみたい！ （昔の映画「メジャーリーグ」好きな人とか）（
- ロードレースファンもきっと満足！
- 普段ロードレースは観てないロードバイク乗り（ロードレースを好きになるきっかけにもなりそう）
こんな人はやめておこう
- 恋愛シーンも期待したい！
- ロードバイクって何？
- スポ根暑苦しい
オススメ度 ★★★★☆
近くのTSUTAYAにあれば、ぜひレンタルしてみてもいい映画。
最近だとAmazonネット配信の方が返さなくていいので楽なので、全然TSUTAYAに行かなくなったので、この映画は結構ニッチなので置かれているか微妙なところです。
近くになければ、Amazonネット配信レンタルで500円。
残念ながらPrimeビデオ対象ではありません。
セルDVDもありました。
ロードバイク関連映画
本文中に少し紹介したロードバイク関連映画についてもまとめておきます。
ロードレース中継がないときにでも。
アームストロングのドーピング疑惑のノンフィクション映画
こっちはランス本人が出ちゃうドキュメンタリー映画
弱虫ペダルの筋肉でも有名なアンディ・フランクのシュレック兄弟のドキュメンタリー映画
ダブルツールの伝説のイタリア人レーサー・パンターニのドキュメンタリー映画
ツール・ド・フランスの歴史を映画くドキュメンタリー映画
ずっとジブリ映画と勘違いしてた茄子。プライムビデオなので会員なら無料。
そして、全然ロードバイク関係ないですが、君の名はも7/26販売・レンタルスタートしてますね。
アマゾンで恐ろしいほどバカ売れです。すごいですね。
ネット配信レンタル500円もスタート
私は飛行機の機内映画で観ました。十分でした。
