不惑の年も過ぎたロードバイク乗りの私は、”大人”であると言っても過言ではないだろう。
ただ、ぐるりと周りを見渡しても、近年の40歳の面々は本当に大人なのだろうかとも思ってしまうこととも。晩婚化が進んでいるせいか、40歳になってもそれほど落ち着き払っている大人は多くない。私が幼いころ大人だと思っていたおじさんたちは30歳くらいだったと思うが、最近はそれほど大人であることを世間が強く要請していないようにも感じる。
まぁ、定義は曖昧だが、大人でありたいロードバイクに興味を持つ人々をターゲットにした雑誌が店頭に並んでいた。それが、「大人のロードバイク入門」である。
かっこいい大人が、カッコよくロードバイクに乗る作法をまとめた「大人のロードバイク入門」
本著は、入門書である。
だから、大人ではあるが、ロードバイクはこれから乗り始める。もしくは、乗り始めたばかりで、ロードバイクの楽しみ方をもっと知りたい。そんな人にオススメの本だ。
間違ってもロードバイク歴10年、国内のレースの年間スケジュールを組んでますと言った強者ライダーは、大人でも手に取らない方が良い。参考にできる内容はほとんどないだろう。
大人とは?
おそらく「大人」という言葉から、「質」や「こだわり」というイメージを与えようとしている。上質な時間をロードバイクに乗って味わおうというテーマを持つ雑誌である。
そして、もう一つ「大人」という言葉で思うことがある。
大人になると日々の成長感は乏しくなる。仕事でもプライベートでも、これまでの人生の中でそこそこうまくやるスキルを覚え、毎日、割と楽に過ごせる。無理しないので、心地よい苦労や達成感を味わう機会が少ない。これは大人の強みであると同時に弱みでもある。
人間は退屈に耐えられない生き物で、達成感や成長感を適度に味わいたいものだ。
もちろん、大人でも成長し続けることは可能だ。さらに仕事を頑張るもよし、子育てパパへと変貌しイクメンスキルを磨くもよし、投資したり、マラソンしたっていい。なんでも良い。
ただ、唯一スマホゲームなどにお金と時間を使って得る達成感には疑問符をつけておく。カフェの隣の席でおじさん2人組がポケモンGOの図鑑を見せ合っていた。微笑ましいといえば微笑ましいが。。。エンドレスGOだし。あまりたくさんの時間やお金を投資しないように祈りたい。世の中にはもっと面白いことがあるはずだ。。
とにかく、大人たちにも、日々の苦労と達成感が必要だ。
「かわいい子には旅をさせよ」というが、「大人にも旅をさせよ」
大人にロードバイクは、いいツールなのだが。
そんな成長スピードが緩くなった大人に、適度な苦労と達成感をあたえてくれて、ちょっと健康にも良い「ロードバイク」という手段はとても良いと思っている。
だから乗り始めたのだ。しかし、この良さってなかなか人に伝わらない。
よく知人に「週末何してんの?」と聞かれて「自転車で100kmくらい走っているよ。」とロードバイクの話も自然に始めたりするのだが、興味のない大人は全く興味を持ってくれない。
マラソンやゴルフとかスポーツする人もそんなにピンとこない。
マラソンやゴルフは大人の嗜みっぽいポジションを得ているが、ロードバイクは方向性が違うだろう。
ロードバイクのイメージ戦略も、もう少しスポ根を離れて、やはり、ライフスタイルとしてじわじわとしみ込んでいくようなマーケティングが必要なのだろうなと日々実感する。
Raphaなどは海外ではライドイベントを通して、カルチャーとしてロードバイクを浸透させて文化として自転車を昇華する試みをしている。日本でもぜひそのような活動を引き続き発信してほしい。そういえば、Rapha最近行ってないな。
ルイヴィトンも、PINARELLO(ピナレロ)を買収してロードバイクカルチャーを活用しようとし始めているので、数年で違うイメージになっている可能性は高い。
さて、話がそれたが、そんな「大人」のカルチャーとしてロードバイクを始めようとし人に向けて、多岐にわたって広く知識を提供してくれるのが、本著「大人のロードバイク入門」である。
目次も大人はスマートだ。
空白もデザイン要素の一つ。たっぷりと配置された空白は、洗練された印象を与えてくれる。かっこいい大人は、文字たっぷりや「!」多用は許さない。
構成は以下の5部に分かれている。
- BIKE
- ロードバイク購入ガイド
- コンポーネント、ショップ、ポジションの重要さを説く
- STYLE
- サイクルウェアの着こなしについて
- レース、カジュアルに加えて、紳士スタイルも
- RIDING
- サイクルギア(ヘルメット・シューズ・ウェア・ペダル)
- 乗り方、走り方などの基礎知識
- MECHANIC
- カスタム(足回り、こんぽ0
- メンテナンス
- トラブル解決法
- OTHER
- 輪行
- 6ホイール(車とロードバイク)
- 鉄板アクセサリー16選
- アイウェア
- 収納術
- 用語集
以上のような構成になっている。
非常に基本的なことを順番に整理しており、大人世代に向けて少しこだわったアイテムを紹介してくれる。
大人にもなるとなかなか人に素直に聞けないこともある。そんな人にも安心の「大人のロードバイク入門」である。