断捨離という言葉が出てきて久しい。
モノからコト(体験)へと世の中の価値観がシフトしていることも後押ししている。
モノを所有することでは本質的には満たされず、自分を通してやったコト(体験)に大きな価値を感じる時代である
思えば2016年の私は、まったくその通りの1年を送ったように思う。大好きな漫画や映画DVD、CDなどのモノに囲まれた生活から、ロードバイクで外へ出かける生活へとシフトしていく毎日だった。
ロードバイクに乗ることそのものや、走って訪れた先にある風景やその土地のグルメを自分の五感を通して味わう「コト(体験)」に大きく満たされた良い一年だった。
今回は、特にこれからロードバイクを始めようとしている人や乗り始めたばかりの初心者、そして、全くロードバイクに興味ない人に、今の時代だからこそマッチしている「ロードバイク」の魅力について伝えたい。
「モノ」の時代から「コト(体験)」の時代へ
ごく個人的な意見ではあるが、ポルシェやフェラーリなどの高級外車に乗っても、ルイヴィトンやプラダなどのブランド品を持っていても、Playstation VRの仮想空間でゴジラに襲われるような非現実的な驚きの体験よりも、ロードバイクを通して自分の体を使って得られる「コト(体験)」にはかなわない。
モノによる喜びは、所有した瞬間にはいっときだけ満たされるが継続性がない。継続して満足を得るために、自慢する他者を求め続けるのも不毛である。正直、他者との対比で満足するような年齢でもない。
一昔前の神話だった「サラリーマンとして勤め上げ、マイカー・マイホームを持つことが最高の人生」というモノに象徴された人生観はすでに崩壊している。
充実したコト(体験)が次の時代の人生観を作っていくだろう。
そして、この今の時代にマッチしているものの一つが他ならぬ「ロードバイク」ではある。意外にも。
ロードバイクは、最強の「コト(体験)」ツール
ロードバイクに乗っていると、常に「自分」の体と対話をすることになる。
坂に差し掛かれば重力を感じて、足の筋肉が悲鳴をあげ始めるし、平坦路を高速で走れば、強い風を体全身で受け止めなければならない
ロードバイクを走らせている間は世界の全てを自分の五感を通して味わうことができる。
目を通していた景色、耳に飛び込んでくる風の音、空気の匂いなど、世界の全てを「コト(体験)」として楽しむことができる。
今更の話かもしれないので恐縮だが、
人生とは「自分」のものである。だから、自分というフィルターを最大限活用し余すことなく世界を「体験」することはこの上なく楽しい人生体験である。ということに今更ながら、ようやく気がついた私だ。
本や映画、ゲーム、VRなどを通して味わう疑似体験も確かに面白い。しかし、やはりリアルを超えた感動をあたえてくれることは少ない。百聞は一見に如かずなのかもしれない。
しかし、「ロードバイク」は最高のコストパフォーマンスで、私たちに「世界」を体験させてくれる。リアルは些細なものでさえリアルで味わい深い。
さらに言えば、ロードバイクで200km走ると非日常感も味わえる。リアルな非日常感は最高のエンターテイメントである。ディズニーランドという空間を味わうのに通じる感覚かもしれない。
それくらいロードバイクは、人にあらゆるコト(体験)をあたえてくれるツールである。
例えば、グルメや旅行も手軽に「コト(体験)」を味わえるメジャーな手段である。
私もどちらも好きである。旅に出て知らない土地を訪れるとリアルな体験を味わえるし、腕によりをかけて料理人が作ってくれた美味しいものを食べるのは幸せな体験である。
そして、ロードバイクは、このグルメも旅行も繋いでまとめてくれる。
ロードバイクに乗って旅に出ればいい。そして、最高の風景と土地の名産、グルメを味わうのだ。それば、旅乗りの醍醐味である。もう、ロードバイク最強なのである。
ロードバイクを乗らない理由はほとんどないと言ってもいいだろう。
一方で、この良さがなかなか人には伝わらない。
伝えたいのに伝えづらいロードバイクの魅力
人に勧めても「キョトン」とされるのがロードバイク
私も時々ロードバイクを人に勧めてみるのだが、ロードバイクに乗ったことがない人は、どうもピンとこないらしい。
たまに話がわかる人はそもそもロードバイクに乗っている人だ。なぜ、ロードバイクってなかなか良さが伝わりづらいんだろうか?と真剣に考えてみる。
自転車は、身近過ぎる実用的な乗り物
おそらく、日本人は自転車と距離が近すぎて、ロードバイクと距離が遠いことが問題なのだろう。通学、通勤で乗りまくる自転車は「趣味」ではなく「実用」なモノと捉えてしまう。
彼等にとって自転車は「チャリんこ」なのだ。だから、下手するとロードバイクも「チャリ」だと思っている節がある。
自転車・チャリは実用的で身近すぎるものだから、ロードバイクが、自転車のハイパーグレード版だと理解してくれたとしても、いわゆる「実用自転車」の延長線上と捉えて、自分たちの想像を超えないと思ってしまう。ハイパーグレードチャリだと思われてしまっているのではないか。
チャリに「ん十万円」の使う変わり者のロードバイク乗り
そして、たまにロードバイクが趣味なんですと話したりしたときの普通の人のリアクションも薄い。
彼らにとっては、ロードバイクも「自転車」に過ぎないのだ。
自転車に「ん十万円」も使ってお金持ってますねー。とか、1日で8時間も自転車に乗って200kmも走ったなんて言うと、「好きなんですねぇ」と変わった人を見る目をすぐに向けてもらえる。
一度たりとも「ロードバイクってそんなに面白いのー!?」って前のめりな興味を持ってもらえたことはない。他人がそれほど面白いと思っているものなのだから、少し興味を持っても良さそうなものだが、お金や自転車に何時間も乗るという行為に驚かれる程度である。
やはり、ハイパーグレードチャリを買うような変わり者の話は一般人は興味がないのだ。
ロードバイクの醍醐味は「遠く」まで走らないと味わえない。
ロードバイクの性能はちょっと試乗したらわかってもらえると思う。
「すごい軽い!速い!」くらいの感覚は普通の人も感じられる。しかし、それだけで、自分もロードバイクに乗ってみようかなーなんて思うほどの衝撃は与えられない。しかも「ん十万円」もお金が必要なのでなおさらだ。
ロードバイクを本質的に理解してもらえる最良の手段は、ロードバイクを貸してロングライドに連れて行くのが手っ取り早そうだ。
例えば、ロードバイクで100kmほど走る。
日常生活を営む都市部から離れて、郊外の山まで行ける距離だ。
車や電車でしか来ることのなかった郊外の田舎まで、自分の足だけを使って走り続けると知っているはずの場所もまた違った顔を見せてくれたり、少しずつ郊外へと変わっていく風景を楽しむことができる。
その日のクライマックスは「10km続く上り坂」。日常の実用的な自転車では決して登ることのない坂を数十分かけてひたすら上り続ける。はっきり言っていますぐやめたくなる。
しかし、そうして死ぬ思いに打ち勝って、辿り着いた山頂から見える眺望は、これまでに見たどんな景色よりも最高だ。
それまでのこれまでにない上り坂の苦しみも、自分の足で数百mのぼりきり、辿り着いた眺望を味わった瞬間、最高の「コト(体験)」に変わる。
「ロードバイクって、すげー!」
ついさっきまでの上り坂の苦しさもあっという間に消えて無くなる。この感動は他の手段ではなかなか味わうことができない。
しかも、ロードバイクは家を出た瞬間から帰るまでずっと楽しめる。
「移動」自体を五感で楽しむ趣味は他にないことも付け加えておく。
ロードバイクを始めるあなたは時代の最先端。
冒頭にも書いたが、モノを消費する時代から、コトを体験する時代だ。
ロードバイクは自分の体を最大限使って、「コト(体験)」を味わうコトができるツールだ。
旅行やグルメとも相性が良い。
ルイヴィトン要するLVMHグループも「ピナレロ」買収を計画し、モノではなくモノを通して得られるコトをプロデュースしようとし始めている。
ピナレロがただの高級ブランドに吸収されるという話ではなく、時代が変化していることを象徴するニュースである。
そんな、ロードバイクを始めようとしている、始めているあなたは、時代の申し子、時代の寵児、現代の魔術師と言っても過言ではない。
さあ、ロードバイクを楽しもう。
そして、このロードバイクの良さを周囲に教える伝道師として、うまく誰かを引きづりこんでほしい。もっともっとロードバイクに乗る人が増えれば、もっと安くロードバイクが買えるようになるはずだから。
と、私なりの草の根活動の一環として、この記事を寄稿する。
10万円くらいでカーボンロードバイクのそこそこいいものが買えるようになれば、世界は変わると本気で思ったりする。エコだし。
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