理系ロードバイク乗りのバイブル!?「ロードバイクトレーニングの科学」最新レビュー

自転車ロードレースのプロ選手たちは既に最先端の科学を利用したトレーニングや最先端の機材、さらには体を強くする栄養学まであらゆる学問から、ロードバイクを速く走らせるための方法を見出そうとしている。

その筆頭ともいえるのは、2年連続ツール・ド・フランスを制したクリス・フルームを擁するチームSKYではないだろうか。ロードレースを科学的に分析し、合理的なアプローチでロードレースのスタイルを変えていっている。

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レース終了後にローラー台を使ってクールダウンすることで翌日へ疲れを残さないようにしたり、天候によっては補給ポイント以外にもコース上にボトラーを配置して、選手の補給を確実にしたり、最近では当たり前になっているロードレースの新常識を生み出している。

そんなプロスポーツの世界の科学的アプローチをフィジカル、メンタル、サプリメント、機材まで多岐の分野にわたり最前線の情報をまとめて、我々一般人にもわかりやすく伝える本が10/24に発売された。

元理系のITサラリーマンである私にとっては、興味をそそる本である。スポーツとは肉体を使うものであるが、頭で理解して体を動かすことでより効率良く、ロードバイクにあったトレーニングを実施できる。

特に時間のない現代人、特にサラリーマンにとっては「時は金なり」。

できれば、無駄な時間を使わず、いかに短い時間で楽しく速くなりたい。そんな我々にこそ、科学的なアプローチが必要なのだ。

現在の主流であるインターバルトレーニングも心拍数やパワー計測の科学から生まれた最新トレーニングである。そんな最先端の現場をこの一冊で垣間見れるのは、理系男子なら好奇心を刺激されるのではないか?

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ロードバイクトレーニングの科学 目次

この本は、2部構成である。

ロードバイクを走らせるために必要な「体(肉体と精神)」とロードバイクそのものである「機材」の前半、後半に分かれている。

Part.1 フィジカルとメンタルを科学する

前半戦は、「体」の仕組みについて科学している。

  • 筋肉の科学
  • フォームの科学
  • ストレスの科学
  • 血液と鉄剤の科学
  • サプリメントの科学

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筋肉と骨がどうつながっているか?ということから始まり、ひざ関節で回すことと股関節で回す違いなど具体的な話から、さらにはメンタルの構造、ストレス回避法に続き、補給・サプリメントによる効果についても言及されている。筋肉と骨がどうつながっているか?ということから始まり、ひざ関節で回すことと股関節で回す違いなど具体的な話から、さらにはメンタルの構造、ストレス回避法に続き、補給・サプリメントによる効果についても言及されている。

特にストレスの科学で面白かったのは、ロードレーサーはポジティブな人が多い理由。

ロードレースには、様々な要素が複雑に絡まり勝敗が決まる。「天候」「機材」「コース」「相手」など要素が多く「言い訳しやすい」のが彼らをポジティブにしているそうだ。

あとは、カフェインの効果についても記載があり、体重1kgあたり5mgほどのカフェインを摂取した選手は1000mのタイムトライアルで2秒ほど速くなった。

体重60kgなら300mgほどのカフェインを摂取して走るといつもより速く走れるかもしれない。しかし、これ結構量が多くて、コーヒー250mlに含まれるカフェインは60〜120mg程度。かなり濃いめのコーヒーを500mlほど飲んでやっと摂取できる量だ。

ヨーロッパのロードレーサーはコーヒー好きが多く、エスプレッソを好んで飲むという話もある。カフェインを摂取することはロードバイク乗りにとっては嗜むべきことなのかもしれない。

Part.2 機材を科学する

続いて科学的にアプローチしてくれるのは、みんな大好きなロードバイクそのもの「機材」である。

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はじめてロードバイクを買うとき、ロードバイクの種類の多さに愕然としたものである。選択肢が多いことは喜ぶべきことでもあるが、それを選ぶためのモノサシが初心者にはない。

初心者が頼れるのは店員さんくらいである。しかし、店員さんもこのバイクを売りたいという営業トークもある可能性もある。そして、いくら我々が速くて軽くて回るロードバイクと夢のような希望を並べても、トレックMADONEのフレームセットに、デュラエースDi2フルセットで、ホイールもデュラエースC50がいいですよ。と勧められても100万円を超える最高級のバイクを買えるわけでもない。

だから、この「機材」編は初心者がまずロードバイクのフレームについて知りたい初心者にはオススメだ。

  • フレームの科学
  • 駆動抵抗の科学
  • ホイールの科学

この本では、いまいち掴み所のない「剛性」について丁寧な説明がある。

フレームを知ろうと思うと「剛性」は必ず耳にする言葉だろう。しかし直感的に理解することが難しい。まず、剛性と強度は全く別のものである。剛性が高くても強度は高いと限らず、壊れてしまうものもある。一方で、剛性は硬さだとも思っていたが、実際は、剛性とは「しなり」のことだ。このしなりの程度により剛性が高いと言われたり、低いと言われるらしい。

剛性が高いほどしなりが少なく、ロスが少ないので速く走れるが、しなりがないと疲れやすくなり、長時間ロードバイクを走らせることができない。

ロードバイクは、速く遠くまで走る乗り物だ。剛性が高すぎてもダメ、低すぎてもダメ、しかもその人のパワーによって最適な剛性も変わる。正解は千差万別で、一つではない。だからこそ、ロードバイクは面白いのかもしれない。

フレーム以外のパーツで剛性を調整していくことも可能なので、いろいろ試しながら自分のためだけのロードバイクを組み上げることもできる。ゆくゆくは私もそんなことができるようになりたい。そのための基礎知識といったところだろうか。

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他にもにチェーンやオイル、ホイールの科学についても本書では記載されている。

ロードバイクトレーニングの科学のまとめ

今回、本書を読んだ感想を述べると、直接、自分に合わせたトレーニングに取り入れるような具体的な内容の本ではない。

どちらかというと最先端のロードバイクの現場を垣間見る知的好奇心を満たす読み物である。ただ、科学的な考えを理解した上で、さらにトレーニング本を読むことでより実感をもってトレーニングを行えるし、機材やパーツについても論理的に選択することができるようになりそうである。

結論を言えば、この本をオススメしたいのは、やはり、理系やIT系でデータドリブンなタイプのロードバイク乗りだ。

ロードバイクの本ではなかなか意欲の高い本だと思う、一般受けしなそうだけど。他の本でこんな科学的なことに言及している本はないので、科学系が好きなら要チェックだ。

一方で、「考えるより、体を動かせ!」タイプの体育会系の人は、トレーニング実践本を読む方が面白いだろう。それ系の本はいくつか出ているので、最新のものから取り入れていくと良いだろう。

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それよりは、まず、この真冬もロードバイクに乗ることが大事だという説もある。

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